2015年01月11日

内向き




お正月もあっという間に過ぎてしまったが、いつものことだがTVは結構見た。正確にいうと見ることは見たのだが、見るに値する番組は少なかったというべきだろうか。もちろん、TVにそれほど期待をしているわけではないが、毎年、年を追うごとに番組の質が低下しているように思う。今年はあえて言うと”ひどかった”。

 ひどかったというのは、印象的にますますTVが内向きになったということである。それなりに外国のニュースもあったし外国を訪問する番組もあったが、”日本”にべったりへばりついて、日本や外国を相対化する視点が少ないということである。われわれが例えば外国に行って、その風景や人々のふるまいに感動したり、新鮮に感じるのは、日本を相対化できるからである。日本を絶対化する視点では単に珍しいものを見るに過ぎない。

 それでも、外国ものはそれなりに見せることはできる。単に珍しくとも、日本との差異があるからである。ひどいと思うのは、相変わらずの芸能人の出る正月番組である。ゲームあり、笑いありで時間つぶしには格好のものだが、少しも感動はしない。それは内輪だけの、いわばお座敷芸だからである。お座敷の狭い空間で芸能人やスポーツ選手が内輪だけの話で盛り上がっている風景は、気楽にみられるものの、少なくともわれわれの心を揺さぶるものではない。さらに感じるのは、内向きは別に芸能人の正月番組だけではない。普通の報道番組(今年の正月では少なかったが)やバラエティー番組でもあっても、意識的か無意識的か”日本”を相対的に見る視点が弱い感じがする。日本だけの見方で感じ方で番組が作られている印象を持った。

 それは日本だけのことではないだろうが、いつか見た風景である。バブルの時代である。典型的なものはバブル期の東京の地価でアメリカ全部が何回も買えるとか、日本の役所や会社の組織は世界一だとかの話、それは普通の日本人にとってはバカげた話だが、当時それほど違和感なく報道された。さすがに今の日本では考えられないことだが、それに似ている。日本人が再度自信を持ったということだろうが、最近は奇妙なことだが、自信と不安・・・少子化や高齢化、自然災害に対する不安などが同居していることである。内に対する不安が外に対する虚勢として表れ、それが内向きに拍車をかける。いわばやせがまんで、それが客観的な視線を遮るのである。

 いずれにせよ、正月のTV番組の内向きは、安倍内閣のスローガン「輝ける日本」と正確に見合っている。多くの課題/難題を無理やりないことにして、株価の上昇やオリンピックに目を向けさせる。それが「輝ける日本」の内実である。 

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2014年12月27日

新自由主義の深化




今年の日本の政治・社会の状況を一言で言い表せば、「新自由主義の深化」が挙げられる。今年も安陪首相の動向が賑やかに報じられたが、その政策は「新自由主義」の典型である。アベノミクスは、「実体経済」から離れた金融の操作だけで経済運営を行うという意味で、ある意味で本来の資本主義の先端をいっている。いわゆる投機である。株価をここまで投機の手段に変え、経済政策の中心に置いた首相はいない。

 驚くべきことは、今年誰もこの「投機」に有力な反論ができなかったということである。さすがに最近はアベノミクスにボロが見え始めたので熱狂とまではいえないまでも、株価が右肩あがりであった今年前半などは国民の7割近くが安倍首相を支持していたほどである。それは単に安倍首相が云う景気の気分を変えたといったことに対する評価だけではなく、日本の国民のものの見方が変わったことによるのだろう。

 新自由主義の申し子のような小泉元首相の言う「抵抗勢力」は完全になくなりつつある。<経済>が表象する合理性が貫徹しつつある中で、あらゆる組織が経済合理性で選別される。原発再開が典型であり、生活保護の削減が小さい報道だったが、一方の典型である。反対勢力はことごとに沈黙を強いられる。これらはアベノミクスと無関係ではない。オリンピック招致のばか騒ぎや、大学や研究機関の選別化、特定秘密保護法の成立、集団的自衛権の閣議決定もこれらの動きと無関係ではない。「抵抗勢力」の無力化である。多くの人は「抵抗勢力」というけ決めつけに弱い。いかにも社会の進歩に反するというわけだ。

 安倍首相は、小泉元首相のように「抵抗勢力」という刺激的な言葉は使わないが、小泉元首相以上に実質的に「抵抗勢力」を排除する。<売れる>、<売れない>、<消費する>、<消費しない>という資本主義の原義であるコノテーションを使ってである。<売れない>、<消費しない>ものに存在意義はないというわけである。

 こうしてみると、なぜか高度成長期やバブル期の日本と似てくるが、その時期はまだ日本にも「抵抗勢力」は存在したように思う。<売れない>、<消費しない>ものでも、重要なモノ、コトは社会で主張されていたし、社会もそれらを許容する風潮があった。「抵抗勢力」が機能していたからである。今多くの人は不承不承(結果的に嬉々として)安倍政権の政策に追随している。高度成長期のような楽観的な見方ができないからである。

 ともあれ、経済だけで日本の政治状況が良くなるはずはない。中国や韓国との関係があり、国内では唯一の抵抗勢力である沖縄がある。安倍首相は必至になって<経済>によってその政治的野望を隠そうとしているが、そのアベノミクスにボロが出た時、その時日本は、政治的にも経済的にも再び大きく変わる時であろう。そしてその時は意外と早く来るかも知れない。

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2014年12月15日

「闇討ち選挙」の意味




衆議院選挙もようやく、というかあっという間に終わってしまった。ぼくは選挙が始まる前は「国民は騙されることがわかっていて騙されているふりをしている」と思っていたが、結果をみると、どうやら本気で騙されているような結果になっている。「アベノミクス」が選挙の争点になったことである。まんまと安倍首相の思うつぼになってしまった。もっとも、投票率が戦後最低ということから、騙されていることをわかっていて無視したとも考えられるが・・・。

 それにしても、この「闇討ち」のような選挙に野党の対応は惨めなものだったという印象は否めない。投票率の低さに関係のない共産党は別として、野党は件並みその存在感のなさを露わにしてしまった。特に第一党の民主党の、議席は伸びたものの党首が落選という結果は、支持するしないは別として哀れささえも誘うものであった。この惨めな結果は、「独裁」に向かっている日本の今の政治状況を正確に表している。

 安倍首相は、今回の選挙の意味を尋ねられて、60年安保時の祖父である岸信介首相の反省を参考にしたと述べている。60年安保が日本を揺るがせた大騒動になってしまったのは、ひとえに安保に対する国民の信を問わなかったことによる、安保条約を改定する前に総選挙をやっておけばあれほどの大騒動にはならなかったというのがその反省である。これを聞いてなるほどと思ったと同時に、安倍首相は普段の態度から伺えない国民を恐れているなということを感じた。政治家としての動物的な勘のようなものであろう。

 「国民を恐れている」という感性が優れているということは、政治家としては優れた感性を持っているといえるが、国民の側からみるとある意味恐ろしいことである。国民を懐柔することも含めて、国民に対して何でもやるからである。今度の「闇討ち」の選挙は、国民が「アベノミクス」に対してそろそろ批判めいた感覚を持ち始めた矢先に、先手を打ったのである。国民も野党もあっけにとられているうちに、国会での絶対多数を確かにしてしまった。多くの傑出した政治家(多くは独裁だが)のよくやる手であり、気が付いた時には、手も足も出ない状況になってしまう。それが優れた(通常とは逆の意味だが)政治家の優れた政治家たる由縁である。

 今回の選挙は国民も野党も、安倍首相にまんまと一杯食わされてしまった。ただ見方を変えれば、2年後の任期を待たずに国民も野党も、早めに眠りから覚めたとも云えるだろう。その意味では600億もの国費を使った「闇討ち」にも意味があるだろう、覚醒すればの話だが。

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posted by 阿Q at 16:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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