2011年03月08日

内需の力・・・中小企業の底上げ(2)

日本はもともと内需依存度が高い国である。GDPに占める輸出依存度は15%程度だから、ほとんどが内需に依存しているといって良いだろう。ただ輸出製品の部品調達は国内なので単純に輸出=外需には依存していないということは言えないようだ。従って、内需、外需を通した日本国内の90%を占める中小企業の問題といった方が良いのかも知れない。

 「デフレの正体」(藻谷浩介 角川書店)でも印象的に書かれているが、日本全体に「シャッター商店街」が広まっている。「シャッター商店街」とは単に狭い定義の「商店街」を表しているだけではなく、産業全体が「シャッター」のように閉じられつつあることを示しているように思う。特に地方の「シャッター」は固くて重い。


 なぜそんな風になってしまったのかと考えると、藻谷がいうように高齢化の波が日本全土に広まったということは大きな理由だと思う。消費で常に若者がリードしている日本において、高齢化が産業全体に与える影響が大きいことは間違いがない。そのことは否定しないが、ただそれだけが「シャッター」の理由ではない。

 今、地方が、そして中小企業が不振にあえいでいるのは、以下大きく2つ理由があるように思う。

 1、長らく続いた公共事業の影響
 2、ビジネスと言う考え方の不足

 1番目は、特に地方において、高度成長時代もそして今も「公」に対する信頼から、あまりにも公共事業に頼ってしまったこと。「事業」がすべて「公」でしかやれないという精神的な構えが、役所に頼り、大企業に頼ったことが大きいのだと思う。今「観光」や「農」、そこから派生する「地産地消」などのキーワードで、少しずつ地方の、中小企業の「事業」の広がりが見られるが、「観光」「農」「地産地消」だけではない普通の「事業」の広がりがあるのではないか。一時「地方の時代」とか、「ふるさと創生」などが騒がれたが、どうも本格的に「事業」としては始まってはいないような気がする。

 2番目は1と裏腹な関係にあるが、「ビジネス」という観点の発想の不足。役所の人と話していると、いまだに「ビジネス」というと利益だけを目的にして「公共性」がないという発想で、「利益」を出すことが悪いことのように考えている人がいるが、アダムスミスをもじっていえば、ひとりひとりの最大の利益を考えて行動すると全体の利益にもなる、という発想がいまあらためて必要ではないかと思っている。

 さらにこれは重要なことだと思うのだが、従来の大企業にみられる「ビジネス」の考え方にない新しい考えをすることが必要だと思う。従来の大企業の「ビジネス」とは、石井淳蔵がいう「論理実証主義」にもとづく「ビジネス」である。「仮説を立て、現実の市場における客観的な証拠を確実に集め、それらを詳細に分析することにより、結論(命題)を導き出す手法」(石井淳蔵『ビジネスインサイト』岩波新書)である。一定の均質な市場の場合はこれで充分間に合っただろうが、今の日本においては恐らく通用はしない。むしろこの考え方が、新しい市場環境に入ったに日本で、チャレンジをしない理由付けになっているのかも知れない。

 新しい考えとは、昨年本ブログで紹介した「ビジネスインサイト」の考え方である。(需要創造のマーケティング・・石井淳蔵「マーケティングを学ぶ」を読む)これについては、再度「内需」拡大に向けて、次回に書いてみたい。




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posted by 阿Q at 21:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月07日

内需の力・・・中小企業の底上げ

 政治も経済政策も、もうそろそろ限界にきたのかなと思う。政治はもうコメントする必要はないが、経済は景気が持ち直したとかいう報道が出ているが本当なのか。確かに輸出が好調で、株も上がっている。大企業の業績も良い。何が日本の景気が悪いといえるのか。日銀の発表はそんな感じで景気の持ち直しを発表している。

 景気が良いと言っている人は、一度ハローワークの求人情報を覗いてみることをお勧めする。まず製造業が少ないことがすぐわかる。時系列に見ないと正確にはわからないが、自分自身の経験から、リーマンショック前後と比べてもまず製造業が少なく、代わりに介護の求人は多くなっている。それとコンピュタ関連も比率的には多いものの、これも製造業と同様減っている。圧倒的に多いのが流通関連、小売店や飲食店などのサービス業である。つまり小規模の企業の求人が多いということ、これが今の現実である。

 製造業が減って介護関連、サービス関連が増えている、これは或る意味現状に沿って政府が進めている施策に則っているので、まあ良しとしよう。問題は製造業に代わる大量の雇用が確保出来ているかというと、全くそうはなっていない。介護関連は増えていると言っても、募集する人数は極端に少ない。応募すると何十倍という倍率らしい。流通関連は募集人数が少なくしかも給料がこれも過去の製造業などに比べるとかなり低い。要は、給料が低い小規模な企業に求人がシフトしている傾向だということである。これだけコンピュタだ、ネットとかいってもほとんどはホームページさえも開設していない企業が多い。

 もちろん、小規模であっても、給料が低いといっても、将来の展望が開ければ問題はないが、これからの日本は間違いなく少子高齢化の社会である。介護は伸びる。ただ、経済全体に影響を及ぼすと言う点ではどうだろうか。かなりの雇用が増えれば別だろうが、かっての製造業にはとても及ばないのは確かである。サービス業に関しては、今のコンビニと同様、人口が減り、小規模な店舗ではじり貧が続くといっても良い。要は今のままでは、まず雇用の絶対数の面で、給与の低さの面で、雇用問題の展望は開けていない。

 雇用問題の展望が開けないままの経済の活性化はあり得ない。いや正確にいえば雇用と経済の浮揚は車の両輪である。菅首相は一に雇用、二に雇用、三にも雇用が経済を活性化と言っていたが、いまや明らかにそれは、雇用の面からいっても上手くはいっていない。もともと経済が活性化していない段階で、雇用だけで経済が浮揚するとは、経済の常識からいってもあり得ないことだ。日銀やエコノミストが経済は持ち直していると診断しているのは、輸出中心の大企業をみているから、そのような診断になっているのではないかと考えられる。

 考えてみれば日本の産業構造は9割が中小企業である。この9割の中小企業が活性化しない限り、経済の浮揚はあり得ない、と考えるのが普通だが、日銀もエコノミストも最近はどうもそのことを云わない。輸出中心の産業構造でやるしかないと考えているのだろうか。

 中小企業を中心とした内需活性化しか、日本の今後の取るべき道はないとぼくは思っている。それについては次回に考えてみる。




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posted by 阿Q at 19:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月31日

若者の失業率

 総務省が1月28日に2010年の平均完全失業率を発表した。リーマンショック後の09年と同じ5.1%という結果となった。過去3番目に悪い水準ということだが、12月単月の結果が4.9%で前月よりやや低下したせいかマスコミもあまり騒いではいないが、考えてみたら驚くべき数字である。しかもリーマンショック以降ほとんど改善しておらず、このままの状態が続くということも十分考えられる。

 特に問題なのは15歳〜24歳の若年層の失業率が9.4%と、前年比0.3%増となっていることである。9.4%という数字はほぼ10人に1人が完全に失業していることになり、事態は深刻である。若者の失業率が高いのはミスマッチが大きな要因と言う分析がまことしやかに言われているが、ぼくはそれだけではないと思う。ミスマッチも確かに大きな要因だとは思うが、若者だけが前年より伸びているというのは、必ずしもそればかりではないことを示していると思う。日本全体の需要自体がシュリンクしていると考えるのが普通だろう。

 それにしてもなぜ若者なのだろうか。若者の失業率が高いのは日本だけではないが、推定だが若者と中高年層との失業率の差が大きいのは日本が一番大きいのではないかと思う。これは新卒の就職率低下の影響が大きいと思われるが、このままいくとさらに高まる可能性が高い。大企業の採用絞り込み、企業内部の中高年層の流動性が少ないなどが考えられるが、しわ寄せが若者にきているのは確かなことである。

 大企業の採用絞り込みは、グローバリゼーションの進展に合わせて今後もより一層強化されるだろう。大企業中心の財界の反応をみると、今後大きく採用を増やすということは考え難い。政府が思っているほど、国境のないところで苦労している財界が、特に日本人だからといって採用を増やすとは思えない。大企業ほどグローバリゼーションが進んでいるからだ。

 となると、社内失業がいまだに多いと言われる中高年層の解雇規制の緩和による流動化しかないと考えられるが、これも転職の風土が定着していない日本においては、実現はかなり難しい。一部の論者は解雇規制の緩和=中高年層の解雇=若者の採用ということを主張しているが、それが簡単に出来るとは思えない。労働組合を始めとする相当の抵抗が予想されるからである。

 今後若者の失業率の低下を食い止めるには、若者の側から見ると、大企業中心の求職を変える必要はあるだろう。そういう意味ではまずミスマッチを解消する必要は、多くの人が指摘するように、ある。確かに今は大企業の待遇は給料、福利厚生など中小企業との差は大きく、若者の大企業志向というのはわかる。しかし、それがいつまで続くかはわからない。大企業もリストラはするし、給料も下がる。企業は生き物だからだ。そういう意味では長いスパンでみれば、優良な中小企業の方が可能性はある。

 次に、若者自身の労働力の価値を高める必要はある。今大企業は学歴でしか学生を選抜していないが、それで本当にグローバリゼーションを闘えるかは疑問である。この問題が実は日本企業の弱体化に繋がっていると思うが、若者の側から言えば、そんな企業はこちらから見捨てれば良いのだ。ただ見捨てる覚悟を付けるには、実力がなければただの犬の遠吠えである。

 柄にもなくお説教みたくなってしまったのでこの辺で止めるが、要はこの日本で若者が生きていくためには、今までの考え方ではもうダメだということを言いたいのだ。大企業はこれからも学歴中心の選抜を行うだろうし、中高年に手厚い終身雇用も止めることはしないだろう。政府、マスコミ、世間も結局その呪縛から逃れられないだろう。要は誰もあてに出来ないのだ。批判精神を持って、自分で何とか打開するしかない。 

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posted by 阿Q at 23:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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