2011年01月19日

大卒内定率最低に対する感想(2)・・・日本型雇用システムの崩壊

 新卒の就職内定率がバブル以降最低になったとの記事を読んで、今になってもまだそんなことを言っているのか、という思いを禁じ得ない。問題ははっきりしている。日本型雇用システムが変わってきている=変わらざるを得ない段階になってきているからである。ここに書くのも恥ずかしい位だが、日本の終身雇用と年功序列のシステムが崩れてきているのはもうずいぶん前から言われている。今回の新卒の就職内定率が過去最低になったのは、何も突然なったわけではなくて、日本型雇用システムの崩壊がここにきてようやくその姿をはっきりと表面に表わしてきたからだ。

 日本の強みと言われてきた雇用システム、その核としての長期雇用制度(終身雇用制度)、年功賃金制度(年功序列制度)が制度疲労を起こす中で、その入り口にあたる新卒一括採用のシステムがようやく影響を全面的に受けたというのが、今回の内定率最低という数字になって表れたといってよい。

 グローバリゼーションによって日本の企業の競争力に陰りがみえたのはバブル後のここ20年である。今から考えると、バブルが弾けた時点で、社会全体として雇用システムにも手を付けるべきだったのかも知れないが、幸か不幸か、一部リストラという形で改革の動きがあったが、このシステムだけは温存してしまった。幸と書いたのは、そのお陰で先進国の中では比較的低い失業率を維持できたのだが、代わりに企業の活力、競争力を損なってしまった。需要が伸びない中での、中高年層が温存される仕組みがそのまま残ってしまったわけで、ここへきて、その仕組みがグローバリゼーションの競争圧力の前に耐えられなくなっというのが、日本型雇用システムの崩壊ということである。

 当然企業は今後もなりふり構わず、日本型雇用システムの崩壊に手を貸すだろう。まず需要に合わせて全体の人員をスリム化させる、つまり団塊の世代が去ってもかってのように順繰りに新卒を入れるようなことはしない。加えて、終身雇用、年功序列というコンセプトが崩れたのだから、例え需要が増えても面倒な教育が必要な新卒を増やすことはしないだろう。

 ただここで奇妙なことが起こっている。恐らく本音は企業側では新卒一括採用を止めたいと思っているのだが、止めた後の社員の補充システムが整っていないのである。転職市場はまだ未成熟だったり、新卒一括採用で培ってきた教育システム以外のシステムが整っていない等、企業側の戸惑いは残っている。それが、新卒の人員を少人数に絞ったり、アジアから即戦力になり得る社員を採用しようとする動きに表れている。

 いずれにせよ、企業側としては、新卒の一括採用は世論があるのでいきなりは止めないが、本音は止めたいと思っていることは十分考えられる。問題は、新卒一括採用を依然として期待している大学、高校などの教育機関、政府、そして求職側の学生、生徒である。新卒一括採用を前提に考えていたのが、ここへきて突然採用が絞られてきたわけだから、戸惑いは大きいと思う。それについては次回に考えてみる。
(この項続く)

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posted by 阿Q at 23:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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