2010年11月17日

「就職氷河期」続く・・・新卒一括採用

 本日の毎日、朝日新聞の朝刊は、新卒の就職内定率が依然最低水準だということを大きく報じている。

 毎日によると、10月1日現在大卒で57.6%、高卒で40.6%と、大卒では過去最低、高卒では過去最悪の昨年よりはやや高いものの、依然として厳しい状況だという。本ブログでも、新卒の就職難については過去何度も書いてきたが、一向に改善していないようだ。

 若者の就職難については先進国共通の現象で日本が特に際立っているわけではなさそうだが、日本の場合、「新卒一括採用」という制度というか慣習があり、他の国とは違った厳しさがある。つまり新卒で就職を決めないとその後就職するチャンスが極めて難しいという特殊な状況にある。新卒一括採用については大学卒業に限って政府は、卒業後3年間は新卒扱いにするという雇用指針を発表しているが、企業がどこまで本気で従うかは不明だ。学生は恐らくそんなことは信用していないと思う。

 それより「新卒一括採用」という「思想」が問題である。小手先の「3年間は新卒扱い」などと言う前に、「新卒一括採用」=「職務のない雇用契約」=「日本型雇用システム」ということを問題にしない限り、根本的には解決しない。新卒を具体的な労働の契約ではなく、メンバーに入れると言う意味で雇用する形態は日本の雇用システムの特徴である。この「新卒一括採用」というシステムから長期雇用制度、年功賃金、企業別組合という日本に固有の雇用システムが生じているわけで、この「新卒一括採用」は、日本の雇用システムの本質の問題なのである。新しい労働社会―雇用システムの再構築へ (岩波新書)


 それは一種の若者の「囲い込み」とみることが出来る。とにかく会社は、有望と思われる若者を「職務契約」なしで囲いこむことによって、その後の求人活動を省略できるわけだから合理的と言えば合理的である。若者の方も、一生涯一つの会社に勤務出来れば安心できる。そういう野合ともいえるやり方で日本の雇用システムが守られてきた。

 日本型雇用システムはここはきて崩壊しつつあるといって良いだろう。まず長期雇用制度、それとパラレルな関係にある年功賃金の制度は、数字はわからないが、かなりの企業でもう捨て去ったのではないだろうか。何せ超優良企業だった日本航空が子飼いのパイロットでさえ整理解雇するご時世である。そして最後に残ったのが「新卒一括採用」という<制度>である。

 いや、穿った見方をすれば「新卒一括採用」という名を借りた企業による日本の若者の絞り込みであるかも知れない。

 その証拠に、最近はアジアの優秀な若者を筆頭に、海外の大学や大学院卒業生を積極的に「新卒一括採用」する動きが、大企業中心に出ている。日本の若者がはじき出されているのだ。ぼくは別に愛国主義者ではないので、海外の若者を企業が採用するのは勝手だとは思うが、今まで散々「新卒一括採用」と言う名のもとに日本の若者だけを競って採用し外国人をオミットしていた企業の身勝手さはこの際言っておかなければならない、と思っている。

 と同時に、日本の若者も身勝手な日本の企業、特に大企業にそろそろ三行半を突きつける時がきたのではないか。もし日本の企業が採用しないのであれば、積極的に海外の企業、あるいは日本の外資、中小企業も視野に入れるべきではないか。もうあまり企業を信用してはならない、と思う。

 吉本隆明が安保闘争後の虚脱感の中で、学生に「精神の闇屋」になれとエールを送っている。

 しかし、現状ではたとえどこへ落ちても、生きてゆくことは依然として困難であることにかわりはない。だから精神の闇屋にとっては、おちてゆく場所を択ぶことも、択ばないこともおなじようにみえるはずだ。どこへいってもこの世は明るい地獄だということを熟知しているから。吉本隆明 擬制の終焉 現代学生論ー精神の闇屋の特権を (1962年)

 今は安保闘争後よりもさらに明るい地獄が広がっているのかも知れない。そうであるならば、より一層精神の闇屋の特権を生かすことが出来るだろう。 

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posted by 阿Q at 23:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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