2010年09月10日

需要創造のマーケティング・・石井淳蔵「マーケティングを学ぶ」を読む(1)



 少し前まで民主党は内需拡大ということを盛んに言っていたが、最近の代表選をみてもそれはトーンダウンしたようである。税金をどう配分するかという、いわば生産性のない話が焦点になっていて、例えば政府の収入をどう安定させ、将来にわたって日本をどうするかという話はどこかへ行ってしまったようである。

 今の日本で一番問題なのは、需要がないということである。デフレはその結果である。モノが売れないから値段が下がり、給料も減り、給料が減っているから値段が下がるといった、明らかにデフレスパイラルに陥っているのが日本の最大の問題である。残念ながらこのデフレをどうするかといった根本的な話は、ほとんどみられない。

 そういう中で、今回紹介する石井淳蔵の「マーケティングを学ぶ」は、将来にわたって日本の産業の行く末を、経済学者などとは違った角度から探究している。石井は経営学やマーケティングの専門家であり、デフレや金融の専門家ではない。ただそれらの専門家には言及出来ない、産業の未来を、つまり将来にわたる日本の需要を創造する方法を、マーケティングを通して語っている。石井はマーケティングの課題を次のように言う。

 供給が市場の需要に応じることが出来ない需要過多の状態においては、販売上の問題は何もない。生産するのを待っていたとばかりに、商品は飛ぶように売れていく。しかし、需要が一巡し、供給が需要を上回り始めたとき、企業には販売という課題に直面する。その課題解決のために生まれてきたのが、マーケティングの考え方である。

 石井が言っているのはもちろん個別企業のことであるが、そしてマーケティングは個別企業のことしか一般的には扱わないが、ぼくは経済社会全体にマーケティングは応用できると思っている。

 それは、日本の企業全体に言えることだが需要をどう喚起するするかという視点が少ないとぼくはみているが、そのこととの関連である。良い製品を作れば売れるはずだ、という思い込、あるいは営業が気合いで売れば売れるのではないかといった、需要よりも供給側に立った視点で企業経営をしている企業がまだ多いような気がしている。そういう会社にとって、マーケティングという考え方=需要創造という視点は弱い。実際、マーケティングという専門部署を持っている会社は、依然として少数派である。その少数派が仮に多数派になったとすれば、日本の需要は増えるはずだというのが、ぼくの単純な発想である。

 この単純な発想は、恐らく経済学者などからボロクソに批判されそうだが、優秀な技術を持った日本の会社が、それこそ本気でマーケティングを蓄積したならば、供給過多→デフレという悪魔のサイクルを破れると、本音で思っている。ただそれには、石井がいうように、いくつかの発想の転換、考え方の転換が必要である。

(この項続く)

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posted by 阿Q at 20:25| Comment(1) | TrackBack(0) | 新しいマーケティング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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需要創造のマーケティング・・石井淳蔵「マーケティングを学ぶ」を読む(1): 阿QのBook Review
Posted by gucci サングラス at 2013年07月21日 17:31
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