2010年09月05日

雇用政策・・・新卒一括採用について

 民主党の代表選で菅首相は、一に雇用、二に雇用、三に雇用ということで雇用政策に重点を置くことを強調している。雇用政策に重点を置くことに対しては、日本の現在の現実に立脚しており、ぼく自身は非常に重要なことだと思うし、賛成である。

 ただその内容は何を意味しているのかについては、必ずしも具体的ではない。雇用というからには当然失業に重点が置かれていると思われるが、どのように雇用を確保していくかについてはあまり語っていない。少し前までは中高年層、非正規労働者の失業に世間が注目していたが、最近では新卒者の就職難が話題になるなど、社会全体に雇用問題の焦点が定まらない中、菅首相はどのように雇用を考えているか明確ではないように思う。

 ぼくが不思議に思うのは、例えば最近の新卒者の就職難に関して言えば、どうして新卒一括採用という制度が問題にならないのだろうか、ということである。日本の雇用システムの特徴とされるこの新卒一括採用について、ネット上では一部問題になったが行政側でこの問題については、卒業後3年までは新卒扱いにするといった対処療法は出しているが、本質的にこの制度の是非についての話は聞かない。また学生、学校側からも声をあげているという話も聞かない。

 新卒一括採用という制度の中心の考えは、この制度における雇用とは職務ではなくメンバーシップということである。雇用契約それ自体の中に具体的な職務が記載されていないという点が特徴である。要するにメンバーに入るか入らないかの契約であり、その具体的な職務内容は問わないという、考えようによっては非常に奇妙な契約だといえる。この新卒一括採用が、日本の長期雇用、年功賃金、企業別組合などの日本型雇用システムの中心的役割を担ってといっても過言ではない。(濱口桂一郎『新しい労働社会』岩波新書)

 長期雇用、年功賃金に関してはすでに崩壊しつつあるが、新卒一括採用という制度だけはいまだに残っている。なぜこの制度だけがいまだに残っているのかはわからない。ただこの新卒一括採用という制度が、日本の労働社会を窮屈にして閉鎖的にしていることは容易に想像が出来る。卒業して一つの企業に、一つの文化(或る社長が、企業は文化であると言ったが、蓋し名言である。)だけにどっぷり浸かっていれば、大概の人は閉鎖社会を形成する。そしてそのシステムが長く続けば続くほど、ますます閉鎖社会になる。それが今までの日本の労働社会だった。

 ところが、グローバリゼーションによって、長期雇用、年功賃金は崩壊した。その悲劇が現在の日本の姿だと言えるだろう。そういう中で新卒一括採用だけがなぜ続いているのだろうか。もっと仕事は、企業は、自由であって良いと思うし、世界の現実はそのように動いている。もし菅首相が雇用を強調するなら、この新卒一括採用のような制度をどのようにするかといった本質的な議論を展開するべきだと思う。

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posted by 阿Q at 23:44| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
とても魅力的な記事でした。
また遊びにきます。
ありがとうございます。
Posted by 職務経歴書の書き方 at 2010年10月21日 18:45
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